私たちの生活に欠かせないドア。オフィスや商業施設、医療機関、教育機関など、さまざまな場所で日々何気なく使用していますが、実は「開き戸」「引き戸」「折れ戸」など、用途に応じて多様な種類があることをご存知でしょうか?

近年、人手不足対策や効率化、バリアフリー化の観点から、ドアの選定は建物の重要なポイントとなっています。例えば、病院では患者さんの移動のしやすさを、オフィスでは従業員の利便性を、商業施設ではお客様の快適さを考慮する必要があります。さらに、防火・防煙性能や断熱性、セキュリティなど、建物の用途に応じた機能性も求められます。

また、最近では新型コロナウイルスの影響もあり、非接触での開閉が可能な自動ドアへの関心が高まっています。従来の引き戸タイプの自動ドアだけでなく、開き戸タイプの自動ドアシステムも注目を集めています。

この記事では、ドアの基本的な種類や特徴、それぞれの機能的な利点、最新の自動ドアシステムまで、分かりやすくご説明します。新築・改修を検討されている方はもちろん、既存の施設の改善をお考えの方にも参考になる情報をお届けします。

開き戸(ひらきど)とは?

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開き戸は、ドアの端っこについている蝶番(ちょうつがい)という金具を軸にして、扉が手前や奥に回転して開け閉めできるドアのことです。家の玄関や部屋のドア、学校や会社のドアなど、私たちの周りにあるドアの多くが開き戸です。スイングドアとも呼ばれます。

でも、この「開き戸」にも実は色々な種類があります。たとえば、1枚のドアが開く「片開き」や、2枚のドアが開く「両開き」、大きさの異なる2枚のドアが開く「親子ドア」などがあります。また、ドアの開き方にも名称があります。ここでは、それぞれの開き戸の違いや特徴を詳しく見ていきましょう。

片開きドア

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片開きドアとは、扉が1枚で、押したり引いたりすることで開閉するタイプのドアです。玄関や居室など、あらゆる場所に利用されており、最も一般的なドアと言えます。

両開きドア

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両開きドアは、2枚のドアパネルで構成される開き戸です。基本的な両開きは、2枚のドアが同じ方向(内開きまたは外開き)に開くタイプです。主に商業施設、倉庫、工場などで使用され、片側だけを日常的に使用することもできます。両開きドアを使う事で大きな機材や荷物の搬入出にも適しています。

親子ドア

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親子ドアは、大きさの異なる2枚のドアで構成される両開きドアの一種です。広い方を「親扉」、狭い方を「子扉」と呼び、玄関などでよく見かけるタイプのドアです。日常的には広い方の親扉のみを使用しますが、大きな荷物の搬入出時には両方の扉を開くことで、より大きな開口幅を確保することができます。このような使い分けができる実用的な設計から、住宅の玄関ドアや商業施設の通用口など、様々な場所で採用されています。

開き戸の開き方の名称

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右開きドア

右開きドアは、ドアノブやハンドルが左側についており、右側を軸として開くタイプです。右利きの人が多いことから、一般的によく使用されています。

左開きドア

左開きドアは、ドアノブやハンドルが右側についており、左側を軸として開くタイプです。設置場所の状況や使用者の利便性に応じて選択されます。

外開きドア

外開きドアは、室外側に向かって開くタイプのドアで、日本の一般住宅の玄関ドアとして広く採用されています。また、避難経路や非常口としても使用され、緊急時には外側に押し出して避難できる利点があります。ただし、室外側に十分なスペースの確保が必要となります。

日本の住宅で玄関ドアに外開きが一般的に採用されている理由は、日本特有の生活習慣や文化と深く関係しています。まず、玄関で靴を脱ぐという日本の習慣に配慮した設計となっています。また、外開きにすることで、ホコリや雨が室内に直接入りにくくなる効果があります。さらに、地震などの災害時には、内側から押し出すことで避難がしやすくなります。来客対応の際にも、扉を介して適切な距離を保ちながら応対できるという社会的な利点もあります。このように、外開きドアは日本の生活様式に合わせた実用的な選択として定着しています。

内開きドア

内開きドアは、室内側に向かって開くタイプのドアで、主に海外の一般住宅の玄関ドアとして採用されています。強風時などにも外部からの力に対して強い特徴を持っていますが、設置の際は室内側に十分なスペースを確保する必要があります。

内開きドアの大きな利点は、防犯面での安全性にあります。不審者が侵入を試みようとした場合、室内側から全身の力でドアを押し閉めることができるため、防犯上有利とされています。また、来客対応の際には、開けたドアが来客にぶつかる心配がないため、スムーズな応対が可能です。このような実用的な特徴から、海外では一般的な選択肢として普及しています。

開き戸には、用途に応じてさまざまな種類があります。片開き、両開き、親子ドアという基本的な形式があり、さらに右開き・左開き、内開き・外開きという開き方の違いがあります。それぞれのドアは、使う場所や目的、使う人の便利さを考えて選ばれています。

引き戸(ひきど)とは?

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引き戸は、戸を横方向にスライドさせて開閉する形式のドアです。水平にレールを設置し、その上を戸がスライドする仕組みで、日本の伝統的な建築でも多く採用されてきました。スライドドア、スライド式ドアとも呼ばれます。

片引戸(かたひきど)

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片引戸は、最もシンプルで使いやすい引き戸の形式です。1枚の扉を横方向に滑らせて開け閉めするもので、私たちの身近でもよく目にするタイプのドアです。和室と洋室の間や、リビングの入り口など、家庭内の様々な場所で使用されています。

片引戸の便利な点は、その柔軟な使い方にあります。扉を閉めれば完全な個室として使うことができ、プライバシーを確保できます。一方で、扉を開けたままにしても空間の邪魔になりにくく、自然な形で部屋と部屋をつなげることができます。状況に応じて個室としても、開放的な空間としても使うことができる、とても実用的なドアです。

引違戸(ひきちがいど)

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引違戸は、日本の住宅玄関でもよく見かける引き戸の一つです。2本の平行なレールの上を、2枚の戸がそれぞれ左右にスライドする仕組みになっています。和室と和室の間や縁側への出入り口など、日本では特に馴染み深いドアです。開け閉めは、2枚の戸を同じ方向に寄せるようにスライドさせて行います。

引違戸の大きな特徴は、必要に応じて戸を完全に取り外すことができる点です。お引越しの時や大きな家具を搬入する際など、広い開口部が必要なときに、戸を外せば他のドアに比べてより大きなスペースを確保できます。また、夏場など風通しを良くしたい時期には戸を外して開放的に使うこともできます。

引分戸(ひきわけど)

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引分戸は、1本のレールの上に左右2枚の扉を設置し、それぞれの扉を反対方向にスライドさせて開け閉めするドアです。コンビニのスライド式自動ドアのような開き方をイメージすると分かりやすいでしょう。

開け方は、2枚の扉をそれぞれ左右の壁側に向かってスライドさせます。両側に扉が分かれて開くため、真ん中に大きな出入り口のスペースができます。例えば、エントランスや大きな部屋の入り口など、人の出入りが多い場所や、開放的な空間が必要な場所でよく使用されています。

引込戸(ひきこみど)

引込戸は、扉を壁の中に収納できる特殊な形式の引き戸です。一般的な引き戸が壁に沿って横にスライドするのに対し、引き込み戸は壁の中に作られた専用の収納スペース(戸袋)に扉を格納します。

引込戸の仕組みの最大の特徴は、扉を開けたときに完全に見えなくなることです。扉が壁の中に隠れてしまうため、空間がとてもすっきりと見えます。また、開いた扉が部屋のスペースを取ることもないため、限られた空間を効率的に使うことができます。和室と洋室の間仕切りなど、開放的な空間づくりが求められる場所でよく使用されています。

その他特徴的な引き戸

引き戸には、基本的な片引きや引分け以外にも、様々な特殊な形式があります。大きな開口部への対応や、バリアフリー、デザイン性など、それぞれが特徴的な利点を持っています。

3枚引き戸

3枚引き戸は、その名の通り3枚の扉を使用する引き戸です。開けると3枚の扉が重なり合うように収納される仕組みで、大きな開口部が必要な場所でよく使用されています。

一般的な引き戸は1枚か2枚の扉で構成されていますが、3枚引き戸はより大きな開口部に対応できるのが特徴です。例えば、テラスやベランダへの出入り口のように広いスペースが必要な場所で活躍します。また、リビングと和室やダイニングを区切る間仕切りとしても使用されています。

吊り引き戸

吊り引き戸は、天井や上部に取り付けたレールから扉を吊り下げて使用する引き戸です。一般的な引き戸のように床にレールを設置する必要がありません。

最大の特徴は、床に段差や溝がないことです。通常の引き戸では床にレールを設置するため、どうしても小さな段差ができてしまいます。しかし、吊り引き戸ではその心配がありません。そのため、車椅子の方や高齢者、小さな子どもがつまずく心配がなく、安全に出入りすることができます。

多連装引き戸

多連装引き戸は、複数枚の引き戸をまとめて収納できる便利なドアです。普通の引き戸は1枚か2枚が一般的ですが、この多連装引き戸は3枚以上の戸を使います。すべての戸は、使わない時は壁の中の専用スペース(戸袋)にスッキリと収納できます。

特に便利なのは、ドアを全部開けた時。すべての戸が壁の中に隠れてしまうので、まるでドアがなかったかのように空間を広々と使えます。

引き戸は、横にスライドして開閉するドアで、日本の住宅でもおなじみの形式です。基本的な形として片引戸、引違戸、引込戸、引分戸があり、それぞれ使う場所や目的に合わせて選ばれています。また、より大きな開口部に対応する3枚引き戸や、段差をなくした吊り引き戸、複数の戸をすっきり収納できる多連装引き戸など、特別な用途のタイプの引き戸とバリエーションが豊富です。

折れ戸(おれど)とは?

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折れ戸は、扉が蝶番(ヒンジ)でつながれた複数のパネルで構成され、アコーディオンのように折りたたみながら開閉するドアです。パネルが折りたたまれることで、開閉時に必要なスペースを最小限に抑えることができます。

片折れ戸

1枚のドアが中央で折れ曲がる最もシンプルな形式です。通常の開き戸と比べて開閉に必要なスペースを約半分に抑えることができます。クローゼットや小規模な収納スペースの扉として一般的に使用されています。

両折れ戸

2枚のドアがそれぞれ折れ曲がる形式です。大きな開口部に対応でき、開いた時の扉の出っ張りを最小限に抑えられます。大きなクローゼットや収納庫、会議室の間仕切りなどに適しています。

アコーディオン式

複数の細長いパネルを蛇腹状に折りたたむ形式です。非常に大きな開口部でも、コンパクトに収納できる利点があります。大型施設の可動間仕切りや、商業施設のシャッター替わりとして使用されることも多くあります。

折れ戸は、扉を折りたたんで開閉できる便利なドアです。最もシンプルな片折れ戸から、2枚折れる両折れ戸、そして多くのパネルが蛇腹のように折りたたまれるアコーディオン式まで、様々なタイプがあります。どのタイプも開閉に必要なスペースが少なくて済むため、限られた空間でも使いやすく、クローゼットや収納スペース、大型施設の間仕切りなど、場所や用途に応じて選ばれています。

機能的なドアの種類:防火・防煙ドア

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建築物の防火安全性を確保するために、防火・防煙ドアは非常に重要な役割を果たしています。これらのドアは、火災時に被害を最小限に抑えるため、法律で設置が義務付けられている場合があります。

特定防火設備(旧甲種防火戸)

特定防火設備は、最も高い防火性能を持つドアです。火災時に1時間以上の耐火性能が要求される場所、特に建物の重要な区画や避難経路に設置されます。主にビルの階段室やエレベーターホール、重要な防火区画の出入り口などで使用されています。

防火設備(旧乙種防火戸)

防火設備は、甲種防火戸に次ぐ防火性能を持つドアです。30分間の耐火性能が求められる場所に設置され、一般的なオフィスや店舗の防火区画などで使用されます。火災の拡大を防ぎ、避難時間を確保する役割を果たします。

防煙ドア

防煙ドアは、火災時の煙の拡散を防ぐことを主な目的としています。煙は火災による死亡原因の大きな要因となるため、防煙ドアは避難経路の確保に重要な役割を果たします。特に建物の廊下や階段室などの避難経路で使用されます。

遮炎ドア

遮炎ドアは、炎が通り抜けるのを防ぐことに特化したドアです。完全な防火性能は持たないものの、火炎の遮断に効果を発揮します。補助的な防火対策として、あるいは特定の用途に応じて使用されます。

機能的なドアの種類:遮音・断熱ドア

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防音ドア

防音ドアは、外部からの騒音を遮断し、また室内の音が外に漏れるのを防ぐ特殊な構造を持っています。高密度の遮音材を内部に組み込み、音の伝わりにくい設計となっています。音楽スタジオ、会議室、病院の診察室など、静かな環境が必要な場所で使用されます。

断熱ドア

断熱ドアは、室内外の温度差を軽減することを目的としています。内部に断熱材を充填した特殊な構造で、冷暖房効率を高め、省エネルギーに貢献します。寒冷地の住宅や、温度管理が重要な施設で特に重要とされ、エントランスや冷蔵施設などで使用されています。

気密ドア

気密ドアは、空気の出入りを最小限に抑える高い密閉性を持っています。特殊なパッキンや気密材を使用し、隙間からの空気の流入を防ぎます。クリーンルームや実験室など、空気の管理が重要な施設で採用されています。

防風ドア

防風ドアは、強風や突風に対する耐性を持つように設計されています。特に高層ビルや海沿いの建物など、風の影響を受けやすい場所で使用されます。ドアの開閉時の安全性を確保し、風による事故や建物への影響を防ぎます。

機能的なドアの種類:セキュリティドア

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防犯ドア

防犯ドアは、不正な侵入を防ぐために、特殊な構造や材質を採用しています。こじ開けや破壊に対する高い耐性を持ち、複数の施錠機構やピッキング防止機能を備えています。マンションの玄関や店舗のバックヤードなど、セキュリティが重要な場所で使用されます。

解錠制御付き

解錠制御付きドアは、電子的な認証システムを搭載し、許可された人物のみが開閉できる仕組みを持っています。ICカード、暗証番号、指紋認証など、様々な認証方式に対応し、入退室の管理を確実に行うことができます。オフィスや研究施設、データセンターなどで採用されています。

監視システム連動

監視システム連動型のドアは、建物の監視カメラやセキュリティシステムと連携して動作します。ドアの開閉状況や通過者の記録、異常の検知などを一元管理することができ、建物全体のセキュリティ向上に役立ちます。また、緊急時には自動で施錠や解錠を行うなど、状況に応じた制御も可能です。

機能的なドアの種類:開き戸自動ドア

開き戸タイプの自動ドアは、蝶番(ちょうつがい)を軸に扉が回転して開閉する仕組みは従来の開き戸と同じですが、モーターとセンサーを組み込むことで自動開閉を実現しています。

省スペース性

開き戸タイプの自動ドアの大きな特徴は、その省スペース性にあります。引き戸タイプの自動ドアと比べて、開閉に必要な左右のスペースを必要としないため、限られた空間でも設置が可能です。また、既存の開き戸を改修し、自動ドア化が可能なことも特徴の一つです。さらに、扉の重なりがないため、有効開口幅を最大限に確保できるという利点もあります。

安心・安全

安全性も重要な特徴です。障害物を検知すると自動的に停止・反転する機能を備えており、利用者の安全を確保します。また、万が一の停電時でも手動での開閉が可能なため、緊急時の対応にも安心です。非常時には避難経路としても機能します。

様々な解錠方法

操作方法も多様で、センサーによる自動検知はもちろん、タッチスイッチやボタンでの操作、さらには最新のスマートフォンやリモコンでの遠隔操作にも対応しています。各種セキュリティシステムとの連携も可能で、建物全体のセキュリティ管理にも組み込むことができます。

アクセスの利便性を向上

設置場所としては、大型複合施設や商業施設、オフィスビル、医療施設、マンション、ホテルなどがあります。車椅子や担架の出入りがスムーズにでき、身体の不自由な方の自立した移動をサポートします。また、オフィスではスーツケースや荷物を持った人の出入りに便利で、商業施設では買い物カートの出入りがしやすいという特徴があります。教育施設での多人数の出入りや、ホテルやマンションでも両手がふさがった状態でドアを開けられる点が評価されています。高齢者や車椅子利用者が無理な姿勢をとる必要がなく、子供から大人まで、誰でも簡単に操作できます。

次世代の自動ドアシステム

開き戸タイプの自動ドアは、人々の多様なニーズに応える高機能な設備として、さまざまな場所で活用されています。特に近年は、コロナウイルスでの非接触での開閉ニーズの高まりから、より一層注目を集めています。使いやすさと安全性を兼ね備えた次世代の自動ドアシステムとして、今後さらなる普及が期待されます。

開き戸を自動ドア化する
工事・メンテナンスを承ります!

開き戸用 自動ドアシステム
アシスト・スイング®

当社では、開き戸用自動ドアシステム「アシスト・スイング®」輸入販売、新規工事・改修工事・メンテンナンス工事を行っております。

新築物件では、建物の用途や人の動線を考慮し、最適な開き戸自動ドアをご提案いたします。例えば、オフィスではお客様と従業員の利便性を、商業施設では来店されるお客様の快適さを第一に考えた提案を行っています。

既存の手動開き戸を自動ドアに改修することも可能です。工事期間を最小限に抑え、できるだけ日常の活動に支障が出ないよう配慮しながら作業を進めます。

導入後のメンテナンスも万全の体制で承っています。メンテナンス契約による定期的な点検により、不具合の早期発見や予防保全を行い、ドアの安全性と快適な動作を維持します。お客様に安心してご利用いただけるサービスを提供できるよう努めてまいります。

アシスト・スイング® は、耐久性、安全性、利便性に優れた自動ドアシステムです。オフィスやホテル、病院などあらゆる場所で、スムーズな人の往来を実現します。お問い合わせは、弊社ウェブサイトの「お問い合わせフォーム」にて承っております。皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。