
「鍵の管理や紛失の心配から解放されたい」「もっとセキュリティを強化したい」「スマホやICカードで簡単に出入りしたい」そんな現代の安全管理の悩みを解決するのが、電気錠やスマートロックです。
オフィスビルや住宅、店舗など様々な場所で使われる電気錠は、単なる鍵のデジタル化ではありません。実際には、カードや指紋、顔認証などで開錠でき、離れた場所からの操作も可能です。また、出入りの記録を残すことができ、「誰がどの部屋に入れるか」といった細かな設定も行えます。従来の鍵では実現できなかった効率的で柔軟なセキュリティ管理が可能になります。
しかし、実際に導入を考えると「どんな種類を選べばいいの?」「法律で決まりはあるの?」「停電したらどうなるの?」など、さまざまな疑問が出てくると思います。この記事では、電気錠の基本から種類、メリット・デメリット、選び方までを分かりやすく解説します。
電気錠の基本と仕組み

電気錠はカードやスマホ、指紋などで操作できる現代的な錠システムとして普及しています。従来の鍵と違い、紛失や複製の心配がなく、入退室記録の保存や遠隔操作も可能です。ここでは、基本的な仕組みから種類による違いまでを掘り下げていきます。
電気錠とは?
電気錠とは、電気の力で作動する現代的な錠前システムです。この仕組みでは、従来の鍵を使わずに、リモコンやカード、暗証番号、指紋認証などで解錠できます。電気錠を使う事で鍵の紛失リスクがなく、管理も簡単に行えます。また、ドアの開閉状況を遠隔で確認したり、スマートフォンで操作したりすることも可能な便利なセキュリティ設備です。
一般的な鍵では物理的な鍵を鍵穴に差し込んで回す必要がありますが、電気錠は電気信号によって施錠や解錠を行います。複数の入口を一元管理することも可能です。さらに、入退室の履歴を記録できるため、セキュリティ管理の面でも大きなメリットがあります。
電気錠と電子錠の違い
「電気錠」と「電子錠」という言葉はよく混同されますが、実は明確な違いがあります。

電気錠と電子錠の比較 | |
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電源方式:電気錠は建物の電源から配線で給電、電子錠は主に乾電池で稼働
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設置工事:電気錠は配線工事が必要、電子錠は配線工事不要で後付け可能
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耐久性:電気錠は高耐久で頻繁な使用に対応、電子錠は比較的低耐久で家庭用向き
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メンテナンス:電気錠は電池交換不要、電子錠は定期的な電池交換が必要
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電気錠は耐久性が高く、頻繁な使用にも対応できます。オフィスビルや商業施設など多くの人が利用する場所での利用にも適しています。また、電池交換が不要なので長期運用コストが低いという特長があります。
電子錠は配線工事が不要で後付けが簡単です。そのため、賃貸物件でも導入しやすく、比較的手軽に設置できます。用途や設置環境に応じて、それぞれの特性を活かした選択ができます。
電気錠の種類と特徴

電気錠は、動作原理や構造によって大きく分けて複数の種類があります。それぞれに特徴や適した用途があるため、建物の用途や設置場所、求めるセキュリティレベルに応じて最適なタイプを選ぶことが重要です。
マグネット式電気錠の特徴と使用場所

マグネット式電気錠(電磁錠)は、電磁石の吸着力を利用してドアを固定する仕組みを採用しています。マグネット錠、マグロックとも言われ、構造がシンプルで故障が少なく、静音性にも優れているのが特徴です。また、保持力も強力で、数百キログラムの力に耐える製品もあります。
一般ドアはもちろん、ガラスドアや防火ドアなど、通常の錠前が取り付けにくい場所でも活躍します。また、高いセキュリティが求められる入口にも適しています。
ソレノイド式電気錠の特徴と用途

ソレノイド式電気錠は、電磁石の力でボルトやラッチを動かす仕組みを持っています。反応速度が速く、コンパクトな設計が可能なため、様々なドアタイプに採用されています。特に電気ストライクとして使われることが多く、既存のドアへの後付けも比較的簡単です。
オフィスや店舗の入口など、セキュリティと利便性のバランスが求められる場所に最適です。
モーター式電気錠の特徴と設置場所

モーター式電気錠は、小さなモーターの力でボルト(カギの棒の部分)を動かしてドアをロックする仕組みです。このモーター錠の最大の特徴は、動作するときの音が非常に静かなことです。
このタイプの電気錠では、「デッドボルト」という施錠方式が使われています。デッドボルトとは、ドアから枠へしっかりと突き出す頑丈な金属の棒のことで、通常のカギと違って、ドアノブを回しただけでは引っ込まない仕組みになっています。このボルトは長く突き出すことができるため、こじ開けようとしても簡単には破られない強固な施錠が可能です。
モーター式は特に、重要な書類や貴重品を保管する部屋の入口、セキュリティレベルの高いオフィスエリア、研究施設、データセンターなど、高い安全性が求められる場所に適しています。
電気錠には、以下のような動作タイプがあり、用途に応じて選ぶことが重要です。
電気錠の動作タイプと特徴 | |
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通電時解錠型(フェイルセキュア):電気を流すと解錠、停電時は施錠。
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通電時施錠型(フェイルセーフ):電気を流すと施錠、停電時は解錠。
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瞬時通電施解錠型:短時間の通電で施錠状態を切り替え。省電力が求められる場所に最適。
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電気錠には、さまざまな便利な機能もが搭載されてる製品もあります。
電気錠の主な機能 | |
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自動施錠機能:ドアが閉まると自動的に施錠するので、施錠忘れを防止できます
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遠隔操作機能:管理室などから離れた場所のドアを操作できます
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タイマー設定:時間帯によって自動的に施解錠するので、営業時間管理が容易になります
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施解錠履歴:誰がいつ入退室したかの記録が残るため、セキュリティ管理に役立ちます
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電気錠は様々な建物のセキュリティシステムに不可欠な要素となっています。マンションやホテルのオートロックシステム、オフィスの入退室管理、非常口の管理など、多岐にわたる用途で活用されています。今後も安全性と利便性を両立させた現代のセキュリティ技術として、さらに進化していくことが期待されます。
建物タイプ別の電気錠選び

建物の用途に応じた最適な電気錠選定が、セキュリティと使いやすさの両立につながります。そのためには、各建物タイプの特性と必要な機能を考慮した選択がポイントになります。
オフィスや店舗に最適な電気錠
オフィスや店舗では、頻繁な出入りと高いセキュリティが求められます。
オフィス・店舗向け 最適な電気錠選択 | |
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主要出入口:マグネット式電気錠(200kg〜500kgの保持力タイプ)
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内部ドア:ANSI規格の電気ストライク(既存ドアへの後付けが容易)
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テナント入口:ドア枠面付けのリムストライク(防火性能と安全性の両立)
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入退室管理システムとの連携や、内蔵モニター機能を活用することで、セキュリティレベルを高めつつ、運営効率の向上が図れます。
マンション共用部に向いている電気錠
マンション共用部では操作のシンプルさと非常時の安全確保が重要です。
マンション共用部向け 電気錠の設置場所と選定ポイント | |
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エントランス:両開き対応(フルレングスタイプ)のマグネット電気錠
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オートロックドア:ドロップボルト式電気錠(ガラスドアでも使用可能)
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駐車場ゲート:パニックバー連動システム(非常時の安全確保)
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特にLEDインジケーター付きの電気錠だと、施錠状態が視覚的に確認でき、特に高齢者や初めての来訪者にも分かりやすく便利です。
工場や倉庫での電気錠の使い方
工場や倉庫では環境条件への対応と区域ごとのセキュリティレベル分けが重要です。
工場・倉庫向け 環境別の電気錠選定ポイント | |
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屋外・湿気の多い場所:防水仕様マグネット電気錠
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シャッターゲート:高耐久リムストライク
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重要保管エリア:シアロック(横方向からの力にも強い)
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フェイルセーフ機能(停電時自動解錠)とフェイルセキュア機能(停電時自動施錠)の適切な使い分けにより、緊急時の安全と資産保護のバランスを取ることができます。
特殊環境での電気錠活用法
様々な特殊環境でも最適な電気錠選定が可能です。
特殊施設向け 施設別の電気錠選定ポイント | |
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医療施設:ガラスドア専用電気錠(クリーンルームや隔離室に最適)
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教育機関:パニックバー連動型電気錠(避難経路の安全確保)
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ホテル客室:スマート連携型の電気錠システム(予約情報と連動)
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現代の建物に求められる安全性と利便性を両立させるため、用途に応じた適切な電気錠の選定が重要です。専門業者との相談を通じて、現場条件に最適な製品を選定しましょう。
操作方法で選ぶ電気錠
電気錠は操作方法によっても種類が分かれます。使用環境や利用者の特性に合わせて最適な操作方法を選ぶことで、セキュリティと利便性を両立させることができます。以下では主な操作方式の特徴と向いている用途を解説します。
カードをかざして開ける:カードリーダー式の特徴

カードリーダー式の電気錠は、ICカードをリーダーにかざすだけで解錠できる便利なシステムです。物理的な鍵を持ち歩く必要がないため、日常的な出入りがスムーズになります。また、カードを紛失した場合でも、該当カードのみを即時無効化できるため、高度なセキュリティ管理が可能です。
SuicaやPASMOなどの交通系ICカード(FeliCa規格)に対応した製品も多く登場しています。そのため、普段使いの交通カードで入退室管理ができ、社員証や学生証と一体化することも可能です。一枚のカードで通勤・通学から入室まで完結できるため、利便性が大幅に向上します。
この方式は操作が直感的なため、高齢者や子供でも簡単に使うことができます。カードの発行・回収・無効化が簡単にできるので、出入りする人が入れ替わる環境に適しています。
カード式電気錠の主な用途 | |
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1
オフィスビルの入退室管理
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2
ホテルの客室ドア
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3
マンションの共用部・各住戸
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4
会員制施設の入退室管理
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通信距離や認証速度によって製品ごとに差があります。選ぶ際は、利用頻度や混雑状況に応じた適切な製品選定が重要です。
暗証番号で開け閉め:テンキー式の利点

このシステムの大きな利点は、一時的な訪問者に期限付きの暗証番号を発行できることです。また、導入コストが比較的低いことも魅力的です。
ただし、運用にあたっては、暗証番号の適切な管理や定期的な更新などのルール作りが大切です。
テンキー式電気錠の主な利用シーン | |
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1
小規模オフィスや店舗のバックヤード
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2
賃貸物件や民泊施設
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3
倉庫や作業場の出入口
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4
共同住宅の共用部
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最近の製品では、防犯対策として「覗き見防止機能」や「いたずら防止ロック機能」が搭載されたものも増えています。また、暗証番号とカード認証を組み合わせた「二要素認証」で、よりセキュリティを高めることも可能です。
指紋や顔で認証:生体認証の最新動向

生体認証型の電気錠は、指紋や顔、静脈などの身体的特徴を用いて個人を識別します。この方式では認証媒体を持ち歩く必要がなく、なりすましも困難です。そのため、高いセキュリティレベルを実現できます。
指紋認証は比較的コストが抑えられることから普及が進んでいます。一方で、最近では顔認証システムも急速に広まっています。特にコロナ禍以降は非接触認証のニーズが高まり、マスク着用時でも認識可能な高精度な顔認証技術が開発されています。
生体認証式電気錠の主な用途 | |
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1
高セキュリティエリア(研究室、データセンターなど)
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2
金融機関や貴重品保管庫
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3
重要施設の入退室管理
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最新の動向としては、AIによる認証精度の向上や、「なりすまし防止機能(生体検知)」の強化、複数の生体情報を組み合わせた「マルチモーダル認証」などが進んでいます。ただし、環境条件(温度・湿度・光量など)によって認証精度が変動する場合があるため、設置場所の条件を十分に考慮する必要があります。
スマホで操作できる電気錠システム

スマホ連携の最大のメリットは、遠隔操作と履歴確認が可能な点です。外出先から来客対応ができたり、子供の帰宅を確認できたりと、生活の利便性が大きく向上します。また、一時的なアクセス権限をアプリ経由で発行できるため、訪問者や宅配業者への対応も柔軟に行えます。
スマホ連携電気錠の主な機能 | |
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1
接近による自動解錠(ハンズフリー機能)
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2
遠隔操作(外出先からの施錠・解錠)
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3
施錠状態の確認と通知機能
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4
入退室履歴のクラウド保存・管理
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スマートホーム機器やホームセキュリティと連携できる製品も増えており、照明や空調、防犯カメラなどと連動させることで、より快適で安全な住環境を実現できます。ただし、スマートフォンのバッテリー切れやネットワーク障害時の対応を考慮し、バックアップの解錠手段(暗証番号やカードなど)も備えておくことをおすすめします。
操作方法の選択は、利用者の特性や使用頻度、セキュリティレベル、管理のしやすさなどを総合的に判断して決定するのが理想的です。また、将来的な拡張性や他のシステムとの連携も視野に入れた選定を行うことで、長期的に満足度の高いシステムを構築できます。
電気錠を導入するメリット

電気錠の導入は初期投資が必要ですが、セキュリティ向上だけでなく運用面での多くのメリットがあります。管理の効率化からユーザー体験の向上まで、さまざまな面で従来の鍵システムより優れた特性を持っています。
入退室管理が簡単になり管理コストが下がる
電気錠を導入することで、物理的な鍵の管理から解放され、入退室管理が大幅に効率化されます。従来の鍵管理では、鍵の複製や回収、紛失時の対応など多くの手間とコストがかかっていました。電気錠ではこれらの作業が電子的に行えるため、管理者の負担が軽減され、長期的なコスト削減につながります。
複数の拠点や多数のドアを一元管理できるシステムでは、管理業務の集約化も実現できます。また従業員の退職や部署異動の際も、システム上での権限変更だけで対応できるため、鍵交換や錠前の付け替えといった物理的な工事が不要になります。
電気錠による管理コスト削減の例 | |
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1
鍵の複製・配布・回収作業の削減
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2
鍵紛失時の錠前交換コストの削減
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3
鍵管理担当者の業務負担軽減
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4
複数拠点の一元管理による業務効率化
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権限設定が柔軟で記録も残せる
電気錠の大きな特長は、利用者ごとに細かくアクセス権限を設定できることです。誰がどのドアを、いつ開けられるかを詳細に設定でき、一時的な訪問者にも期間限定でアクセス権を付与できます。また、入退室履歴も記録できるため、セキュリティ管理や勤怠管理にも活用できます。
権限設定は時間帯や曜日ごとに細かく制御可能です。例えば、一般社員は平日の営業時間内のみ、管理職は24時間いつでも入室できるといった設定や、特定エリアへのアクセス制限なども実現できます。これらの設定は管理システム上で変更ができ、運用ルールの変更にも柔軟に対応できます。
電気錠によるアクセス管理の柔軟性 | |
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1
ユーザーごとの詳細な権限設定
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2
時間帯・曜日ごとのアクセス制限
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3
エリア・ゾーンごとのセキュリティレベル設定
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4
一時的な訪問者向けの期間限定アクセス
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出入りがスムーズになり使い勝手が良くなる
ハンズフリー認証や自動ドアとの連携により、荷物を持った状態でも楽に通過できるようになります。また、閉め忘れ防止機能や自動施錠機能により、セキュリティを維持しながらも利便性が向上します。
バリアフリーの観点からも電気錠は優れています。高齢者や身体が不自由な方にとって、鍵穴に鍵を差し込む動作は困難な場合がありますが、電気錠ならカードをかざすだけ、あるいは顔認証などの非接触方式で簡単に解錠できます。
利用者にとっての使い勝手の向上 | |
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1
鍵を持ち歩く必要がなくなる
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2
認証がスムーズで待ち時間が減少
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3
荷物を持った状態でも操作しやすい
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4
ドアの閉め忘れや施錠忘れの防止
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電気錠の導入は、初期投資やシステム設計に一定のコストがかかりますが、長期的な視点で見れば管理コストの削減、セキュリティの向上、利便性の改善など、多くのメリットがあります。建物の用途や規模、利用者の特性に合わせた適切なシステム選定を行うことで、投資に見合った効果を得ることができます。
電気錠のトラブル対策

電気錠は高い利便性と安全性を提供しますが、適切な対策を準備しておかないと、停電や故障時に問題が発生する可能性があります。トラブルを未然に防ぎ、万一の際にも迅速に対応できるよう、主な対策について解説します。
停電したときの対応
電気錠は電力で動作するため、停電時の対応は重要な検討事項です。停電時の動作は電気錠のタイプによって異なります。通電時施錠型(フェイルセーフ)は停電で自動解錠されるため避難経路に適していますが、通電時解錠型(フェイルセキュア)は停電で施錠状態になるため、バックアップ電源や代替できる解錠手段が必要です。
停電対策としては、無停電電源装置(UPS)やバックアップバッテリーの設置が効果的です。長時間の停電に備えて、機械式バックアップキーや緊急解除機構も確保しておくことが重要です。
停電時の対応手順をあらかじめ文書化し、関係者に周知しておくことも大切です。特に避難経路となるドアでは、確実に通行できるよう十分な対策が必要です。
故障したときの対処方法
電気錠も機械部品と電子部品で構成されているため、使用年数や使用頻度によって故障が発生する可能性があります。故障時に備えて、初期対応の方法と専門業者への連絡体制を整えておきましょう。
故障の兆候としては、異音、動作の遅れ、認証エラーの増加などが挙げられます。これらの兆候が見られた場合は、早期に点検を行うことで大きなトラブルを防げます。また、突然故障した場合でも慌てずに対応できるよう、代替手段や緊急時の解錠方法を事前に確認しておきましょう。
定期的なメンテナンス契約を結んでおくと、故障時の対応が迅速になるだけでなく、予防保全によって故障自体を減らすことができます。重要なドアほど、迅速な復旧が可能な体制を整えておくことが大切です。
不正利用を防ぐセキュリティ機能
例えば、カード式では暗号化技術でカード情報の不正コピーを防止し、生体認証では「なりすまし防止」の技術が進化しています。
管理面でも、定期的なパスワード変更や退職者のアクセス権の即時削除など、適切な運用ルールを設けることが重要です。また、入退室ログの定期的なチェックにより、不審な動きを早期に発見することも可能です。
電気錠設置に関する安全基準と法律

電気錠の導入を検討する際には、セキュリティや利便性だけでなく、安全面や法的な側面についても十分な理解が必要です。特に日本では建築基準法や消防法などの法規制が厳格に定められており、これらに適合した設置が求められます。ここでは、電気錠の設置に関する法的規制と安全基準について解説します。
建築基準法・消防法で確認すべきポイント
建築基準法では、非常時に円滑な避難ができるよう、避難経路上の電気錠は火災時に簡単に素早く解錠できることが求められています。また消防法では、消防用設備と連動して自動的に解錠する機能が必要な場所もあります。
法令適合のための確認ポイント | |
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1
避難経路上のドアは内側から簡単に開けられること
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2
火災報知器と連動した自動解錠機能の有無
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3
停電時の安全確保(フェイルセーフ機能)
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4
防火区画を構成するドアの場合、防火性能の維持
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非常時の解錠機能と避難経路の確保
非常時に安全かつ迅速に避難できるよう、電気錠には適切な解錠機能が備わっていることが不可欠です。特に多くの人が利用する建物では、パニック時でも混乱なく避難できるシステム設計が求められます。
非常時解錠には主に以下の方式があります。
非常時解錠の主な方式 | |
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フェイルセーフ方式:通電時施錠型の場合、停電時に自動的に解錠される
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火災報知器連動型:火災信号を受けると自動的に解錠される
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非常解除スイッチ:手動で電気錠を一斉解除できる装置
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機械式バックアップ:電気系統が故障しても機械的に解錠できる機構
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建物の利用者が安心して利用できるよう、非常時の避難経路についての案内表示も重要です。特に高齢者や身体が不自由な方、車椅子利用者など、避難に配慮が不可欠な方にも分かりやすい表示が必要です。
電気錠の品質規格と性能保証
電気錠は建物のセキュリティや安全に直結する重要な設備です。そのため、信頼できる品質規格に適合した製品を選ぶことが大切です。
主な品質規格と認証 | |
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JIS(日本工業規格) | 国内の標準規格 |
UL規格 | 安全性に関する試験をクリアした製品 |
CE規格 | 欧州連合の安全基準 |
防犯性能の高い建物部品(CPマーク) | 官民合同会議が認定 |
製品選定時には、これらの規格認証があるか確認するとともに、以下の性能指標にも注目しましょう。
確認すべき性能指標 | |
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耐久性 | 開閉サイクル数(50-100万回以上が望ましい) |
保持力 | マグネット式の場合、必要な保持力(kg) |
耐環境性 | 温度・湿度・防水性能などの動作条件 |
停電時対応 | バックアップ電源や手動解除の有無 |
製品の保証内容も重要な確認ポイントです。メーカーによる製品保証期間、保証対象範囲、アフターサービス体制を事前に確認しておくことで、故障時のリスクを最小限に抑えることができます。また、定期的なメンテナンスサービスがあるメーカーや販売店を選ぶことも、長期的な安全性確保には有効です。
信頼性の高い製品を選び、適切に設置・運用することで、法令遵守と安全確保の両立が可能になります。
まとめ:電気錠導入で実現する安全と便利な入退室管理
電気錠は現代のセキュリティニーズに応える便利なシステムです。従来の鍵と比べて、紛失リスクの低減、柔軟な権限設定、入退室記録の管理など多くのメリットがあります。ソレノイド式、モーター式、マグネット式など様々な種類があり、用途や設置場所によって最適なタイプを選ぶことが重要です。
また、操作方法もカードリーダー式、テンキー式、生体認証、スマホ連携など選択肢が豊富で、利用者の特性や利便性に合わせた選定ができます。ただし、停電や故障時の対策、セキュリティ機能の活用、法的基準の遵守などにも注意が必要です。
電気錠は初期投資がかかりますが、長期的に見れば管理コストの削減や利便性の向上、セキュリティレベルの強化など大きなメリットがあります。建物の用途や規模、利用者の特性を考慮し、最適な電気錠システムを選定することで、安全で快適な環境を実現できるでしょう。
当社取り扱いの電気錠
建物セキュリティの中核を担う製品ラインナップ

当社では、様々な建物のセキュリティニーズに対応する多彩な電気錠製品を取り揃えています。それぞれの特筆すべき特徴と使いやすさを兼ね備えた製品をご紹介します。
マグネット電気錠:強力な保持力と洗練されたデザイン
マグネット電気錠は、電磁力を利用して強力にドアを保持する製品です。配線工事が比較的容易で、静音性に優れているため、多くの商業施設や事務所ビルで採用されています。
豊富なラインナップで幅広い用途に対応
270kgの保持力を持つ標準タイプ。一般的なオフィスや店舗の出入口に最適です。
360kgの中型タイプで、来客の多い商業施設のエントランスに適しています。
540kgの高保持力モデル。UL火災試験認定で、セキュリティレベルの高い施設の出入口に最適です。
ドア全高(またはドア全幅)をカバーするフルレングスタイプで、美観と高いセキュリティを両立します。
用途に合わせた特殊マグネット電気錠
IPX7等級の防水性能を持ち、屋外や湿気の多い環境でも安心して使用可能です。
ハンドル一体型の洗練されたデザインで、高級オフィスやホテルに調和します。
当社のマグネット電気錠は、内蔵ボンドセンサーによる施解錠状態の監視や、残留磁気を防止する特殊設計など、高い機能性と信頼性を備えています。
電気ドロップボルト:高い安全性と柔軟な設置性
ドロップボルトは、電気的に制御される堅牢なボルトがドア枠に差し込まれることでドアをロックするシステムです。様々な取付方法に対応し、高いセキュリティレベルを実現します。
設置条件に応じた多彩なシリーズ
EB260N:
停電時施錠型・フェイルセキュア
電源ONで解錠、OFFで施錠するセキュリティ重視型。停電時も施錠状態を維持し、オプションのシリンダーで手動操作が可能。リバーシブルラッチボルト採用で取付方向を簡単に変更できます。
EB262N:
通電時施錠型・フェイルセーフ
電源ONで施錠、OFFで解錠する安全避難重視型。防火区画用電気錠ドロップボルトです。フェイルセーフ設計で、火災時や停電時は自動解錠され避難経路を確保します。
高機能な安全設計
当社のドロップボルトは、通電時施錠型(フェイルセーフ)で、停電時には自動的に解錠される安全設計を採用しています。さらに、ボルト状態センサーやドア位置センサーを内蔵し、セキュリティシステムと連動した高度な管理が可能です。
電気ストライク:既存ドアへの容易な後付けと高い互換性
電気ストライクは、既存のドアに最小限の加工で後付け可能な電気錠です。様々な錠前と組み合わせることができ、コストパフォーマンスに優れています。
多様なドア環境に対応する豊富なバリエーション

ANSI/JIS規格の高頻度型箱錠に対応する堅牢モデルです。

ガラスドア専用設計で、ガラスの厚みに合わせた調整が可能です。
多様なドア環境に対応する豊富なバリエーション
電気ストライクは、通電時施錠型(フェイルセキュア)と通電時解錠型(フェイルセーフ)の切り替えが現場で簡単に行えるモデルを多数ご用意しております。設置後の運用方針変更にも柔軟に対応できます。また、100万回の動作試験済みの高耐久ソレノイドを採用し、長期間の安定稼働を実現します。
シアロック:最高レベルのセキュリティと洗練された美観
シアロックは、横方向(剪断方向)からの力にも強い高セキュリティタイプの電気錠です。隠蔽型の設計で美観を損なわず、最高レベルのセキュリティを実現します。
990kgの強力な剪断保持力を持ち、片開き/両開きドアに対応します。オプションのブラケット(SMB-001)で面付けで取り付けることができます。
残留磁気解消設計を採用し、電源遮断時に確実に解錠します。また、再施錠タイマー(1〜6秒間で調整可能)や磁気ボンドセンサーを標準装備し、高度なアクセス管理システムとの連携も容易です。
水平・垂直どちらの取付方向にも対応し、両開きスイングドアにも使用可能な柔軟性を備えています。
入退室管理システム
カード認証、暗証番号、生体認証など多様な認証方式に対応した統合システムもございます。スマートフォン連携にも対応し、管理の効率化と高度なセキュリティを実現します。


製品選定にあたっては、建物の用途や使用頻度、セキュリティレベルなどを考慮した適切な製品選びが重要です。詳細は当社までお気軽にご相談ください。
ニーズに応じた電気錠システム:様々なドア製品との最適連携
当社では、高品質な電気錠システムを各種ドアシステムと組み合わせた総合的なセキュリティソリューションを実現します。 建物の用途や安全基準に応じて、電気錠を様々なドアシステムと連携させた最適な提案を行っております。
新築物件では建物の設計段階から最適なシステム構成をご提案し、既存ドアへの後付けも、最小限の工事で機能性の高いセキュリティシステムを構築いたします。
電気錠単体の導入はもちろん、当社の主力製品である自動ドアシステム「アシスト・スイング®」、電磁レリーズ、パニックバーなどと連携させることで、建物全体のセキュリティ計画から個別ドアの機能向上まで、幅広いニーズにお応えいたします。当社の電気錠製品は、マンションやオフィス、店舗、工場、医療施設など、あらゆる場所で安全と快適さをお届けします。
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